フレイヤ奮闘記
「おーい、生きてるー?」
誰だろうきいたことのない声だ。
「トリス、おきて。」
あれー?この声は・・・・・?
トリスはがばっと起きた。目の前に加奈子がいた。
「あ、れ?加奈子さん。」
やあ、というような顔つきで加奈子は他の人を起こしていた。ぐるんとトリス
がまわりを見渡すと、金髪のポニーテールの女の子と、夏美がいた。
「ナツミさん、加奈子さん、どうしてここに?」
「それはこっちが聞きたいよ。モーリンと走ってたらさ、あんたたちが転がって
るんだもん。」
加奈子は、けろっと笑いながら言った。
「そうだ!!フレイヤは?」
「「フレイヤ?」」
「まだ来てないのか・・・・。」
トリスは少しがっかりしていた。が、考え込んでる暇なしで、モーリン宅へつれていかれた。
「はあ〜。きもちよかった〜。お風呂ありがとうねモーリン。」
「いいんだよ。それよりさ、あんたたち、どうしてあんな所にいたんだい?」
モーリンは、興味津々な顔で言った。
「短縮に話すと、ギブソン先輩のお世話になるのが、なんか悪い気がして、昨日
の夜に、皆で抜け出してきたんです。で、黒の旅団っていう団体が、街道のほ
うで待ってて、それで、戦わざるおえなくなっちゃって。で、戦闘中に召喚し
てしまったのが、フレイヤという女の子なんです。その子は、足止めするって
言って、そのまま別れてしまったんです。私たちは逃げ切ってあそこに・・・・。」
「で、そのフレイヤって子はどこに?」
加奈子は、人数を数えながら言った。
「別れてそのままなんです。」
「そうなんだ。ちゃんとあとで来るっていったんでしょ?」
「うん。」
「でもなんか心配ね。一回その足止めするって言ってた場所に行ってみない?」
「はい。」
トリスと夏美と加奈子と一緒に行くと言ったバノッサは、モーリン宅を後にし
た。
「すごい。この大きな、塀を一瞬で作ったの?」
加奈子はぼーぜんとしていた。
「そうだろうな。」
「召喚術じゃないね。こんな大きな塀を作る召喚術なんてないもの。」
夏美は塀を見上げながら言った。
「ねえ、そのフレイヤって子はどんなことをしたの?」
「レンキンジュツっとかっていってた。」
「ふ〜ん・・・・。とりあえず、戻ろうか。」
「お・・・・・?」
フレイヤは、とある部屋のベッドの上で目をパチクリとしていた。ここは一体
どこでっか?と言いたそうな顔で。部屋には誰もいなかった。自分の杖とマン
トがハンガーにかかってつるしてあった。ベッドから降りると、マントをはお
り、杖を持った。
「気がついたか・・・・。」
入ってきたのは、金髪の青年だった。
「あんたは・・・・。」
フレイヤはとっさに身構えた。
「そう警戒しないでくれ。今は君に危害を加えるつもりはない。」
「ここはどこよ?ここから出して。」
「ここはデグレア特殊部隊の寮だ。悪いが今はそれはできない。」
手に持っていたカップを、差し出した。
「何よ、捕虜にどうしてそんなことをするわけ?」
フレイヤは、にらみつけながら、カップを受け取り、中身は何か聞いた。
「そんなに警戒しないで。いまから君を、元老にあわせて、それからどうか決め
る。」
「その元老とやらにあったら、だしてもらえるの?」
「どうかな・・・、君が使うその特殊な術が気に入られれば、デグレアの、特殊
部隊の導師になるかも知れない。」
「気に入られなかったら?」
「殺されるかな・・・・。」
けろっとした顔で、子供相手にンな事言うなよあんた。フレイヤは思った。
「あのねえ、いくら私でも、勝手に殺されたくはないよ。そん時は容赦なくあん
たたちを攻撃するからね。いい?こっちにはね、いろんな事情があるの!!第一、
あんたたちなんかに気に入られても、私は絶対、術を使わないからね。人殺し
のためになんか使わないもん!!」
ダン、とじだんだをフレイヤは踏んだ。
「まあ、落ち着け。とりあえず、ルヴァイド様に君が起きたことを知らせてくる。
君の名前は?」
「フレイヤ。あんたは?」
「イオスだ。大人しくしているのだぞ。」
イオスはドアに向かったが、その前にドアがいた。
「イオス、娘は起きたか?」
ルヴァイドがはいってきたのだ。
「ルヴァイド様・・・。」
「あんた、あん時の・・・・・。」
「元気になったようだな、いまからレイムにあわせなくてはならん。ついてこ
い。」
「待って下さい、ルヴァイド様!!元老が来る筈では・・・・。」
「急にこれなくなったそうだ。行くぞ、イオス、娘。」
仕方なくすたすたとついていってたが、フレイヤが口をあけた。
「レイムだか元老だか知らないけど、私はその人たちの前では術を使わないよ。
凡人にそういうの見せると、富のために術を使おうとするから。」
「とりあえずあってもらおう。」
ルヴァイドは、前を向いたままいった。
「無理やり使わせようとしたら、このたてものごとぶち壊してやる。」
イオスとルヴァイドは何もいわず、ドアの前に立った。
「レイム、はいるぞ。」
「どうぞ。」
ドアを開け、なかに入ると、四人の大人がいた。
「!?」
フレイヤは妙な顔をした。
「この娘ですか?ルヴァイド。」
銀髪の男が言った。
「どんな術使うの?楽しみ〜。キャハハハハ!!」
ハート形の模様が描かれた帽子をかぶった女性が言った。
「フレイヤ、やってもらえるかな?」
イオスが言った。
「嫌。」
「ほう、フレイヤというのですか。やってもらえますよね?」
レイムが言った。
「いーやーだ!!」
「ね?ちょっとだけやってよ。」
「嫌だって言ってるのがわかんない?」
フレイヤは杖を構えた。
「なら、力ずくでやってもらうよぉ?」
ビーニャは、短剣をフレイヤに突きつけた。フレイヤは手を叩き、短剣にかざ
し、何かいった。バシン!!という音とともに、短剣が砂鉄になった。
「「「「すごい・・・・・。」」」」
全員は唖然とした。フレイヤは、杖を縦にまっすぐ突き、何かつぶやき叫んだ。
「いっけえ!!水入り金ダライ!!」
ごごごごん、と八人の頭上に、水がいっぱい入った金ダライが降ってきた。頭
にタライがあたったかと思うと、ずぶ濡れ&ピヨピヨになり倒れた。
「「「「「「ぶ!!!!!!」」」」」」
「ふん!!これが人間界のテレビのギャグ番組で見た技よ!!」
すたたと、陣をフレイヤは描くと、陣の真中に立ち、詠唱をはじめた。
「フレイヤ・フラメル・ガーネットの名において命ずる。汝、異界より呼ばん。
この声とどいたなら、遅延なく我が前にたて!!出でよ、グリンブルステ
ィ!!」
どーん!!という音とともに現れたのは大きな金色のイノシシ。ひょいと飛び
乗り、ドアに突進し、逃げようとした。逃げようとする、フレイヤのマントの
先にしがみついたのはレイムだった。
「逃がすかぁ!!」
「きゃん?!」
フレイヤはイノシシから落っこちたが、
「ぐりんちゃん、カムヒア!!」
と、言いながらマントにぶら下がっているレイムの顔面を蹴っ飛ばした。イノ
シシはこなかった。ビーニャ、キュラー、ガレアノ、ルヴァイドが追い詰めて
いたからだ。
「そこまでだ、フレイヤ。」
イオスが槍を突きつけた。
「甘いわね、ぐりんちゃん、ひざカックン!!」
ぐりんちゃんと呼ばれたイノシシは、小さくなり、ビーニャの足の間をすり抜
け、大きくなりながら、イオスの足にひざカックンをした。
「うあ?!」
「ようし!!ぐりんちゃん、ゴーーーーーーー!!」
フレイヤは飛び乗り再び、すたたかと走り出したが、なぜかイオスまで乗って
いた。
「ぐりんちゃんのバカーーーーーーー!!なんでイオスさんまで乗ってるのよ
ーーーーーーーーーーーーー!!」
「ぷきゅ?」
「ああもう!!」
フレイヤは手を叩き壁を壊すと、そのまま外に出、空に向かって走り出した。
「降りてよーーーーーーーー!!!一人乗りサイズなんだからーーーーーー
ー!!」
「戻ると言うなら降りよう!!」
「逃がしてくれるなら降ろすーーーーーーーーー!!」
「逃がすよ!!」
ぐりんはUターンすると地上に向かった。イオスを降ろすと、
「逃がしてくれてアリガトね。お礼にこれあげるよ。」
フレイヤは、すぽ、と何か模様が彫られた腕輪をはずすと、イオスに差し出し
た。
「いや、良いよ。」
「アースガルドでは、助けてもらったりすると、お礼に何かあげるもんなの!!
じゃあね。」
ぐりんは走り始めた。
「トリスさんどこかなあ?」
フレイヤは、ファナンの下町をきょろきょろしていた。突然誰かにぶつかった。
「あ、ごめんなさい。」
ぶつかった相手は、海賊と思われる男だった。
Back