お祭U
「ぜぇ、ぜぇ・・・・。やっと撒けたかなあ、イオスさん。」
フレイヤは立ち止まり、後ろを見た。
「いや、まだ撒けてないみたいだ。走るぞ、フレイヤ。」
再び走り出した3人ではあるが、下手に走り回ると、お祭りを楽しむ余裕がな
くなる。このまま、家に帰ったら、毎日のように追いかけられることであろう。
フレイヤは、思いついたように、
「浜辺に行こう!!」
と言い、走るスピードを上げた。ぐりんをおこすと、何か命令を下し、空へ飛
び上がらせた。
浜辺に言って、ある程度は知ると、フレイヤは立ち止まり、何か、赤い飴のよ
うな物をポケットから取り出した。それをパク、と口に放り込むと、心配そう
な顔をしている、イオスとルヴァイドに、
「大丈夫だよ。」
と言った。
「今さっき食べたのは?」
イオスが聞いた。
「“賢者の石”だよ。私は、まだそんなに魔力が高くないから、こういうピンチ
(?)のときに、一時的に魔力を高めるために、使うんだ。今私が食べたのは、ま
だ魔力がそんなに高くない私が創った“賢者の石”だから、一時的にしか魔力
が、増幅されないけどね。」
「賢者の石?聞いたことのないものだな。」
ルヴァイドは、つぶやいた。
「フレイヤさあああああぁぁぁぁぁぁんんん!!!!!!!」
レイムが走って来た。
「やっと、観念したのですね!!」
「誰が?」
ふれいやはぷつ、と指先をかむと、血が出るのを確認して、砂に血を落とした。
目をつむり、ふっとあけると、にっこり微笑んだ。
「ぐりんちゃん、みぞおちにひずめスターンプ!!!」
ぐりんは、空から急降下しながら、レイムの腹に突進した。レイムが吹っ飛ん
でいる間に、手を地面につけた。レイムが、地面に横たわった瞬間、蟻地獄のよ
うに、砂が沈み始めた。
「もがかない方が良いよ。もがくと、もっと砂に沈んじゃうから。」
フレイヤは、にっこり微笑みながら、お祭の会場の方へ行った。
「フレイヤちゃん?」
夏美とバノッサは、イオス達といっしょにいるフレイヤを見つけた。
「あ、ナツミさん。」
「どうしてその人たちと?」
「あのね、ちょっと変な人に追いかけられてて、それで、ボディーガードやって
もらってるの。」
「でも、あなたは大丈夫なの?」
「うん。お祭りの間は、私のことも、アメルのことも狙わないって約束してもら
ったから。」
夏美は、イオスとルヴァイドのほうへ行くと、
「すいませんが、フレイヤを、よろしくお願いします。」
と、ぺこりと頭を下げていった。
「あなたたちも、レイムの目標になるかもしれない。気をつけて下さい。おそらく
レイムは、人妻でも狙うでしょうから。」
イオスとルヴァイドは、会釈をすると、フレイヤとともに、どこかへ行った。
「ありがとうね、倒すことができてよかった。」
「かまわないよ、次にレイムが」
「フレイヤさあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁんんんん!!!!!」
突然、レイムの声が聞こえた。
「え?」
フレイヤは、声がしたほうを振り返った。レイムが、猛ダッシュでこっちに向
かっている。ヘタ、とフレイヤは座り込んだ。
「うそでしょ?あの蟻地獄からどうやって・・・・?」
「愛故の脱出ですvvvVVVV」
レイムは、フレイヤに抱きつこうとした。
「いや―――――――!!!!」
めごぉ、とフレイヤのアッパーがレイムのあごに入った。
「ああ・・・・、ナイスヒット・・・・。」
イオスとルヴァイドは、フレイヤを、守るように、レイムの前に立ちふさがっ
た。
「いい・・・。」
レイムはむくりと起き上がりいった。
「「「は?」」」
「その打撃、癖になりそうです。絶対捕まえて、あなたを私の、側近に」
どす。。。
イオスの槍と、ルヴァイドの剣がレイムに突き刺さった。
「行くぞ、フレイヤ。立てるか?」
ルヴァイドは、くるりとレイムに背を向けた。フレイヤは腰が抜けていた。イ
オスは手を差し出した。
「ほら。」
「あ、ありがとう。」
「ただいま〜。」
「お帰り、変な人につきまとわれて大変だったね。」
「トリスさん、ナツミさんから聞いたんですか?」
「ええ。」
「まあ、何がともあれ、一件落着したんだから、いいんじゃない?」
夏美は、コップを手に言った。
「「そうだね」」
と、フレイヤと、トリスは言った。