騒動 壱
自分の身の回りの物は全てマンションへ持っていかれた。
あとは、自分の一日分の服と、あっちの学校の制服。
あっちの学校は、全て事情を話したにもかかわらず、
それでも構わないと、あたしを受け入れてくれた。
向こうの先生達は、用心に用心を重ねて、男子として
編入を許可した。それもこれも、あたしの身長が物を言ったのだろう。
男子と同等の178cm。
女性にしては、がっしりとした体つき。
全ての事の始まりは、半年前にさかのぼる。
しかし、今はその事は思い出したくない。
誰かにその事を話すときが来るのだろうか、
そんな人たちに出会えるのだろうか。
わからない。
わからないけれど、もうあの学校には居られない。
「ねえ、本当に行くの?」
と母がきく。
「うん。ごめんね、母さん。」
「・・・・たまには・・・・・帰ってきなさいよ、。」
母の目には、涙が浮かんでいた。
「うん、一週間に一回は必ず連絡するから。」
あたしは母に行ってきます、といって玄関を出た。
暖かい日に、俺はベッドで昼寝をしていた。
ウトウトしてると突然電話が鳴り響いた。
俺はびくっとして、電話の子機を睨んだ。
なんだよ、今寝ようとしてたのに。
「はい。」
電話をとると向こうから聞こえてきたのはなにやら嬉しそうな声。
「お、ジタンか?俺だ!俺!ティーダっスよ!」
「何で家のほうにかけてくるんだよ、ケータイにかけりゃあいいじゃねぇか。」
「ジタンのケータイにいくらかけてもつながらなかったっスよ。」
俺はそばにあった携帯をとった。
画面が黒い所を見るとどうやら充電を切らしてしまったらしい。
「ごめん、充電がきれてた。」
「んで、要件っスけど、なんか編入生が来るらしいっスよ!」
「そんなの珍しいことじゃねえじゃんか。」
「そ、れ、が!未確認情報なんだけどかーなりのいい女!とか。」
いい女、という言葉に俺は反応した。
「ホホウ☆」
「ま、それだけだ。じゃあ、また明日な。」
いい女、ねえ・・・・・。会えるかな。その「いい女」とやらに。